Blue lagoon

Phoebe's music life
<< April 2017 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>

スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

- | | - | - | スポンサードリンク

こんぴら歌舞伎ー四代目猿之助襲名披露公演

こんぴら歌舞伎、以前からあるのは知っていたのだけど、昨年中村勘三郎さんの追悼番組をみて、これは一度行ってみたい!と思うようになった。実家のある高松からだと車で1時間かからない距離、義母の卒寿と実家の父の傘寿のお祝いに歌舞伎はどうだろうと思いついて、この春、実現。そういえばわたしが小さい頃、父がなにかの出し物で弁慶をやってたりしたっけなあ、などと思い出しながら、がんばってチケットをとり、皆でこんぴらへ。

今年は、四代目猿之助さんの襲名披露公演。


こんぴらさんに来るのはものすごく久しぶり。
金丸座は、天保六年(1835年)に建築された現存する日本最古の本格的芝居小屋で、重要文化財でもある。1970年に現在地に移築復元され、1985年以来毎年「四国こんぴら歌舞伎大芝居」が開催されている。

金丸座、金毘羅宮への階段22段目を左折という表示にしたがって左折すると、そこからまたゆるやかな上り道が続く。
登っていくと右側に階段があり、入場する人の列ができていた。
豊かな緑に抱かれた、金丸座。


ボランティアのお茶子さんたちが親切に席へと案内してくれる。
左後ろのほうの桟敷席、板廊下を渡って障子戸から畳の間へ入る。ひと区画6人。持参した座布団やらを駆使して見やすいようにしつらえる。見知らぬ人と混じるといささか遠慮があるが、今回はひと枠家族だけなので気を遣うこともなくありがたかった。

中の様子。ほんとに芝居小屋という雰囲気に満ちていて、わくわくする。いよいよ初歌舞伎だ。

わたしたちが観たのは午後3時からの第二部。

一、銘作左小刀「京人形」

市川右近さんの左甚五郎、笑也さんの京人形の精、春猿さんのお姫様。甚五郎が作った人形が動きだすというなんともファンタジックな設定。人形役の笑也さん、じっとしてるのもすごく大変だろうけど、加えてコミカルな動き、柔らかく美しい踊り、右近さんと息ぴったりの華やかで楽しい舞台に、客席はため息、歓声、笑い声。いやー、歌舞伎楽しい!といっぺんにひきこまれてしまった。よく写真なんかで目にするけれど、あの鬘と衣装をつけてイナバウアーよりも反ってポーズを決めるあたりなど、すごすぎる〜。
踊りが終わって、甚五郎さん襲われて右手が仕えなくなり、お姫様が登場し(ほんとうにきれい……)花道から去っていく。甚五郎さんは残った左手で、襲ってくる輩に立ち向かう。その輩たちのかっこいいことw。バク転あり、宙返りあり。もう小屋の中はやんやの喝采。熱気のうちに閉幕となる。(現在の野郎歌舞伎の前には、若衆歌舞伎というのがあったそうだけど、それってジャニーズの原型かも、とバク転みつつ思ったり)。


そして、襲名披露口上。幕が祝い幕に変わっていた。福山雅治さん作の歴代猿之助さんの隈取りを重ねたデザインがすてき。

二、四代目市川猿之助襲名披露口上
緊張感と真剣さの中にもおおいに笑いのある楽しいものだった。一年近く、この口上を繰り返すのだなあ。裃に独特の形のちょんまげ、ええとなんていうのだったっけ、刀みたいにぴんととんがっているのが家の型ということらしい。正面からみるとなんとなく宇宙人のアンテナみたいなのだ。びびっと閃きそうな……。

そしていよいよ猿之助さん登場。

三、「奥州安達原(袖萩祭文)」

長いお話の一部で、人間関係やあらすじを書くとえらく大変なのではしょるが、前半は親の意に沿わぬ相手と一緒になったために勘当されていた袖萩(今は盲目となり、娘とさすらっている?身)が、父親の危機をきいてかけつけるも、相手にせぬ父の家の門前で、三味線を弾きながら苦労話をする。

娘に手をひかれて猿之助さん演じる袖萩が花道から登場する。まず、その指の繊細さに心奪われてしまった。娘に誘われての道ゆきの、あわれさや不安さ、急ぐこころ、なんだか切なくなる。

ちなみに「京人形」は常磐津、長唄、袖萩祭文は浄瑠璃と三味線と書かれている。どこがどう違うかもまったく知識がないのだけど、生の音っていいなあとすごく思った。袖萩での三味線は太棹というのだそうで、びびーーーんと低く物哀しい音が、お腹まで響いて染み入るようだった。

父と娘の間にたっておろおろする母親(竹三郎さん)、寿猿さん演じる父親の気迫。そしてけなげな親思いの娘を演じる子役の子もなんともかわいい。哀しいお話だけど、時折そのかわいらしい言い回しに笑い声も起こったりした。袖萩が物語るシーンでは、天井のざるから(人力で揺らして)会場全体に雪が降ってくる。桟敷から眺めるとなんとも夢のような空間。場所的に袖萩さんが柱の影にかくれちゃうのがちょっと残念だったなあ。

後半、早変わりして猿之助さんは安倍貞任(実は袖萩の夫)として登場。黒の直衣姿がなんとも凛々しい。ぶっ返りで貞任の衣装と髪型が変わったりと、スピーディーで緊迫したお芝居が続く。お兄さんの貞任の弟、宗任(片岡愛之助)も登場し、舞台は盛り上がる。見栄をきるというのも何もかも初めてなので、歌舞伎ってこんなに手に汗握る面白いものだったのかと、もう時間を忘れて夢中になった。そして舞台の衣装や小道具の色彩の美しさ、黒い直衣に真っ赤な幟、その鮮やかな対比に目の洗われる思いだった。

全体に漲る力、気魄、芸の確かさや伝統、そういうものはほんとうにダイレクトに伝わるんだなあということを実感。もちろん楽しさも!体を張って、気力の限りを尽くす、そこにスタッフの努力が加わってひとつになって、客の心を深く揺さぶる。そこから生まれる一体感!これが生の舞台の魅力なんだと思い知った。

一緒にいった家族もみな喜んでくれて、ほんとによい思い出になった。一生に一度、観ておこうって思って行った歌舞伎だけど、すっかり魅了されてしまって、終わりじゃなくてスタートになりそうな予感(笑。

歌舞伎 | 20:18 | comments(0) | trackbacks(0) | phoebe