『God Only Knows』

  • 2018.08.06 Monday
  • 20:18

昨日の村上RADIOの楽しい余韻がまだまだ生きてますね。RADIOとレコードに埋没していた学生時代を懐かしく思い出しました。昨日、知ってる曲がなかったと書いたけれど、「Surfin’ UAS」や「Light my Fire」「What a Wonderful World」を知らないなんて言っちゃ大変です(笑。失礼しました。

 

聴いたあとなんとなく余韻に浸りながら『村上ソングズ』をめくっていて、サウンドストリートの坂本龍一教授がやっていた渋リクから曲を録音したカセットテープを処分しちゃったことを深く後悔しました。

ビーチボーイズの『God Only Knows』のとっても渋〜いカバーやら『Autumn in NewYork 』なんかも入ってて。たしかマ・メール・ロアも渋リクで初めて聴いたのだったなあ。あがた森魚の『リラのホテル』とか、大貫妙子さんも何曲か入っていたっけ。そうそう『Disney Girls』も入ってた。音楽との出会いと知識のほとんどはラジオからもらったのだったと、あらためて思い出したりして。

 

君のいない僕の人生がどんなものか、

それは神さましか知らない

 

そして、この『村上ソングズ』に取り上げられている曲と歌詞がまた、渋い。いろんな場所でいろんな人がいろんな思いを綴り歌った、その心の奥をすっと金魚をすくうみたいにすくいとって「ほら」って見せてくれるような本だなあ。ネットで探せばすぐ音源は出てくるのだろうけど、ちょっと手間をかけて金魚を探すことにいたしましょう。

 

img007 (2).jpg
 

JUGEMテーマ:音楽

『きものがたり』宮尾登美子

  • 2018.07.17 Tuesday
  • 21:02

JUGEMテーマ:読書

img001 (2).jpg昨年春、古本屋の店じまいセールがあり、最終日は詰め放題1000円。移動するのもやっとの店内でとりあえずめぼしいものを片端から詰め込んでいった。「ご自分でレジに持ち上げることができることが1000円の条件です〜〜」と店内放送がかかる。人間、いざとなると力が出るもので、あとで思うとよく持ち上がったものだと感心するほど詰め込んだ。前振りが長くなったが、その時に袋に入っていた中の一冊がこの本だった。

 

宮尾さんご自身の着物についてのあれこれを語りつつ、一か月ごとにテーマを設け、写真とともに着物が紹介されている。とってもすてきだ。季節ごとの着こなしにも役立つ。

 

高知の花街を間近に見て育ち、戦中戦後の大変な時期を経ての今日。その中で女性としての着物、という存在の大切さ、切ない思いなどを綴った文章は、流石ピシッと背筋が伸びるようなつよさに貫かれている。

今は洋服に対して和服のことを着物というが、当時はまさに日々の「着物」であっただけに、女の喜びや悲しみがしみこんだものであることが痛切に伝わってくる。そして、今の簡易で便利で多彩な洋服が街にあふれている状態が、果たして幸せなのかなとちょっと思ったりもする。もちろんその恩恵を蒙ってもいるのだけれど。

 

小さな頃、気に入った生地で、好きなデザインで、体にぴったりのものを母が作ってくれていた記憶がよみがえる。母の作ってくれた洋服の数はすごく少なかったが、それだけに一つひとつの洋服に鮮やかな記憶と愛着があり、それを着たときの出来事まで今でも思い出すことができる。それと似た気持ちが、着物には込められているような気がする。

 

和服はことにお値段も張るものだから、思い入れや思い出の深さも半端ではなく、まさに「きものがたり」、一枚一枚に物語が生まれるのだろう。

 

数年前に着付けを勉強していたとき、踊りの名取をしている友達にコツを聞いたら、ひたすら慣れることだと言われた。彼女は「襟元が体にきれいに添ってない、まだ着物がなじんでない」と言われ一念発起して、眠るときもガーゼの和装の寝間着で寝るようにしたそうだ。

それを聞いてから、私もマネしてみたいと思っていたが、ガーゼの寝間着ってけっこう高いんですよ。ところがピルクルよろしく念じれば通じる。年配の方が処分するからと二枚も新品をくださった。それから着物に慣れたい一心で、湯上りとして活用させてもらっている。ほんとはそのまま眠ればいいのだろうけど、猛烈に寝相が悪いためチャレンジできずにいる。面倒だけれども、そんな努力が必要というハードルの高さがまたいいのかもしれない。

 

ストレッチの効いた素材とウエスト総ゴムに慣れた自分を反省しつつ本を開けば、背筋が再び、ぴっと伸びるのであった。

 

『とりつくしま』東直子

  • 2018.06.05 Tuesday
  • 22:13

JUGEMテーマ:読書

ぼつぼつと、ここ一年に読んだ本のことどもなど。

 

昨年の五月に読んだ東直子の『とりつくしま』。とてもよい本だった。じんわりしみじみ。思わぬことであの世に来てしまい、俗世に未練がある人たちの前に現れる、とりつくしま係。とりつくしまを探している人を一目で見分け「何にとりつきますか?」と問うてくる。ただしとりつけるのは、モノ(無生物)に限るのだ。野球をがんばっている息子のロージンバッグになるお母さん。息子の成長をマウンド横で見届けながら、最後は消えて(消費されて)いく。夫のマグカップになる妻、恩師の扇子になって夏の間だけ、そばにいて風を送る教え子。マッサージの椅子になるお父さん、憧れの図書館員のネーム札になるホームレス。母親の補聴器になる娘。青いジャングルジムになる小さな男の子。実に様々な人が様々なモノにとりつく。どちらかというと、切ない中にも、ああよかったとほっこりできるお話が多い。が、母親の補聴器になった娘さんの話なんぞは、実に苦い悲しみが残る。

 

どのお話も、個性描写が実にうまい。人を深く見る目の確かさ、あたたかさ。文章もしっとりして美しい。東さんは歌人だと聞いて、納得。ひとつひとつの言葉の選び方がぴたっとはまっている。それぞれのお話の主人公の人生のひとかけらが描かれているだけなのに、その余白にその人の人生がふんわりとふくらんでいく。

 

余談だけど、夫のマグカップにとりつく彼女は、夜、ピルクルが飲みたくなってコンビニに向かっている途中に事故に遭う設定だった。実は私ピルクルを知らなかった。ピルクルって何?ピルクルってどんな飲み物?と頭でピルクルがぐるぐるしていたとき、ものすごいタイミングで、ある方からピルクルをもらって、それはそれは驚いた。生まれて初めて飲むピルクルがこのタイミングで来るのか……。念じれば通じる?じゃ、当選した宝くじでも頭の中でぐるぐるさせてみようか、などとつまらない妄想がふくらむ梅雨入り前。

 

 

『ガーンジー島の読書会』メアリー・アン・シェーファー、アニー・バロウズ

  • 2014.06.26 Thursday
  • 22:59
メアリー・アン・シェイファー,アニー・バロウズ

メアリー・アン・シェイファー,アニー・バロウズ

 木曽さんちで紹介されていて読みたいなあと思っていた『ガーンジー島の読書会』を読了。

第二次世界大戦後のロンドンで、名前が売れ始めた女流作家ジュリエットが主人公。偶然、彼女の蔵書であったチャールズ・ラムの「エリア随筆・選集」を手にした、ガーンジー島のドージー・アダムズから届いた一通の手紙。そこから、ジュリエットとガーンジーの島の人々、そしてもう一人の主人公とも言えるエリザベスの物語が始まる。大戦時、ドイツ軍に占領されていたガーンジーの人々の苦難、自由な精神でそれに立ち向かおうとしたエリザベス。そのほとんどが書簡という形で描かれていく。

書簡なのでとても読みやすく生き生きとしていて、一気に読むことができた。占領下での悲惨な状況やつらい別れ、収容所での様子が描かれている箇所では胸が詰まるけれど、島の読書会の個性豊かなメンバーや、美しい自然、そしてジュリエットの親友ソフィーとその兄シドニー(仕事のパートナー)との愛情やユーモアあふれるやりとりに、時折くすっと笑いながら、最後はとても幸せな気持ちで本を閉じることができる。

「私が読書を愛するのは、それがあるからです。本の中で、ある小さなことが読み手の心を捉えると、その興味がべつの本へと読者を導き、第二の本の中の小さなできごとが、またべつの第三の本へと誘う。幾何学模様のように広がっていくのですー行き着く先はなく、ひたすら純粋な喜びのためだけに。」(ドージーにあてたジュリエットの手紙より)
 
ひたすら純粋な喜びのために、という言葉が心に響いた。作者のメアリーそのものが出ているような気がする部分だ。

衛生状態は悪く、食べるものは極端に不足、自由もない。そんな中で本を読むということ。そんな状況をとても想像できないのだけれど、そんなときだからこそ、本が人々の心を救い結びつける役割を果たしたのかもしれない。

それにしても、戦争はないに限る。自由に本を読み音楽を聴き、それを語ることができる幸せをあらためて噛みしめる。

ジュリエットの恋も大切な要素。彼女を取り巻く男性たち、とくに彼女に猛アタックをかけるアメリカの資産家のマーク・レイノルズは、なんだか憎めないキャラで(笑、映画化するとしたらこの役を誰にやってもらうか考えるだけでも、かなり楽しいかも。バラが似合う人じゃなきゃだめだな。

フランスにとても近いところにあるガーンジー島、まったく知らない場所だったけれど行ってみたくなった。イギリス王室属領だけれど、高度な自治権を有しているとのこと。主要都市の欄に「不明」って書いてあるのが渋い。

著者のメアリー・アン・シェーファーは、この本が最初で最後の著書で、完成を待たずに世を去り、姪の作家、アニー・バロウズが引き継いで完成させたとのこと。きっとすてきな人生を送った人なのだろうなあと想像する。

そして、この本を読んだあとは猛烈にお手紙が書きたくなること間違いなし。ただ、ネタと時間がないのだなあ(涙。そのうち私からわけもなく手紙が届いたりしたらきっとそれはこの本のせいです、お許しあれ(笑。


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