色彩感溢れる交響詩 フールム〜

  • 2007.05.22 Tuesday
  • 23:45
フールム1
Simax PSC3110  アルフ・フールム (1882-1972)
 弦楽四重奏曲 イ短調 作品6  ヴェルターヴォ弦楽四重奏団
 交響詩〈ベンディクとオーロリリヤ (Bendik og Aarolilja)〉作品20
 交響曲 ニ短調 (1927)
  スタヴァンゲル交響楽団 アレクサンドル・ドミトリーエフ

アルフ・フールムの管弦楽作品と弦楽四重奏がおさめられた一枚です。

初期に書かれた弦楽四重奏曲イ短調は、伝統的古典=ロマン的手法、それに明快なナショナリズムの傾向に加え、印象主義の確かな要素を持った魅力的な曲。

ほの暗い情熱に満ちた響きで始まり、抒情的な第二テーマへ鮮やかなコントラストを描く1楽章、生き生きとした優雅さを持つ2楽章、3楽章は、ウーレ・ブルの書いたヴァイオリンのための小品を思わせる民謡風のなんとも愛らしいメロディに彩られ、4楽章はノルウェーの踊りを思わせる民族色の濃い音楽です。(1913年に初演)

交響詩《ベンディクとオーロリリヤ》は、有名な古代ノルウェーのサガに基づいた作品。

(あらすじ)
 ベンディクという若者が自分の妻を探す旅に出ます。たどり着いたところには、王が高い柱廊の上に娘の寝室を作っていました。そしてそこに足を踏み入れた男はすべて死ぬ、と宣言していたのです。
 ベンディクは王のその言葉をものともせず、娘の部屋に近づきます。そして彼と王の娘であるオーロリリヤは互いに愛し合うようになります。
 ある夜、王は若い二人を夢に見てうなされ、ドワーフからベンディクが禁を破って姫の部屋に入ったことを告げられます。王は、テーブルにこぶしを打ちつけて怒り狂い、命令に背いたベンディクに死をもたらすことを誓います。
 オーロリリヤは父の足元に跪いてベンディクとの結婚を許してくれるよう懇願しますが全く聞き入れられず、ベンディクは教会の中庭に拘束されます。女王も、天にいる天使たちも、鳥や花や木々までもが彼の釈放を祈りましたが、王はこの世のどんな祈りもベンディクを救うことはできないと、ついには彼を打ち首にしてしまいます。
 オーロリリヤは烈しく嘆き悲しみ、教会の祭壇に灯りを灯し、その前で自らの命を絶ちます。


彼はこの悲劇的な叙事詩を音楽でみごとに描写し、ダイナミックで荒々しい部分やとても美しく繊細なメロディを織り交ぜながら、燃え上がるようなクライマックスへと導きます。聴いていると物語世界が目前に浮かび上がるようでどきどきするほどよくできた音楽。映画に使ったら、さぞ効果的だろうなぁと思います。(1927年、カリフォルニア、バークリーにて書かれ、同じ年の9月ベルゲンで初演)

交響曲ニ短調の三つの楽章はそれぞれ標題を持っていて、フールム自身がそれぞれについて語っています。(下記は概略)

機The great forest 
 AndeasHaklandの書いた同名の本にインスパイアされ、東ノルウェーの森林地帯を心に 描きながら書いた(前の交響詩と幾分よく似た旋律が使われている)。

供A winter Night on the Plains
 月に照らされたノルウェーの山の情景を描いた絵を思い、またフールムがGeiloに居た ころの平原の印象をベースに書かれている。

掘The Viking Ship
 ヴァイキングの大胆で向こう見ずな愛と冒険の世界を生き生き表現する楽章。

この交響曲には、紛れもなくノルウェーという国とその自然が息づいています。特に終楽章ははっきりとしたノルウェー民族音楽の影響が見てとれます。

交響詩、交響曲ともに 実に効果的でエレガントなオーケストレーション!後に開花する絵画の才能が音楽の世界にも生命感を与える大きな要素になっていることを感じます。

ノルウェーの交響曲作家の草分けであり、現代ノルウェー音楽の道を切り開いた先駆者でもあったアルフ・フールムの魅力が詰まった1枚。ドミトリ-エフ指揮スタヴァンゲル交響楽団の共感に満ちた演奏も、すばらしい!

それにしても、CDって数年聴かないでいると忘れるものですね(^^;)。今回フールムを聴きなおして「こんなにいい曲、いい演奏だったのねー!」とうれしい再発見。最近お財布もちょいとつらい状態だし、今あるものをしっかり聴きなおすのもよかんべ、とあらためて思ったのでした。

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  • Deus ex machina -機械仕掛けの愚か者-
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