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    名画で読み解く『ハプスブルク家 12の物語』中野京子

    • 2010.06.27 Sunday
    • 13:32
     この本、読みたい〜と思いながら、すっかり忘れていた一冊。このごろはハードカバーも新書もかなりお高いので、つい手がひるむが、やっぱりそう思ったときに読んでおかなきゃいけません(涙。春先京都でみた『The ハプスブルク』展、それを見る前にこの本を読んでおけば倍楽しめたかもと後悔しきり。

    12枚の絵をキーに描かれる、ハプスブルク家やその周辺の歴史、人間模様(というにはあまりに濃い)の面白さに一気に読了。すぐれた画家の描く肖像画はその人の内面までしっかり画布にとどめる。

    『The ハプスブルク』展の肖像画の部屋では、大きなエリザベート皇后の肖像(華やかなのになぜかさびしい絵)も、ベラスケスの描いたマルガリータも、それぞれすごく心に残ったのだけど、心に一番強烈に焼き付いたのが、エリザベートのご主人フランツ・ヨーゼフ一世の肖像画だったことを思いだす。

    第11章で語られるエリザベート皇后の物語。女傑であった母ゾフィに従順なフランツ・ヨーゼフ一世が、ただ一度、母のすすめた縁談についてきた相手の妹エリザベートに一目惚れして、無理を押し通した「そのただ一度が、高くつく」。性質上皇室の公務になじめずない、夫はワーカホリック、嫁姑戦争、長女を無理矢理長旅に連れ出して病死させてしまい、その後は任せておけないと、姑ゾフィが全面的に育児をのっとり、その空白を埋めるために過剰なほど自身の美を保つための努力に打ち込むエリザベート。そんな母の愛情に飢え、謹厳な父との確執に悩んだ末、息子はピストル心中でこの世を去る。

    ウィーンに滞在すると鬱状態になるため、旅から旅に明け暮れた彼女は、スイスで「王族なら誰でもよかった」というイタリア人アナーキストに暗殺される。妻暗殺の報を聞いた夫フランツ・ヨーゼフは「わたしはもうあらゆる辛酸をなめつくした」とつぶやいて、平常の公務に戻ったそうだ。

    朝5時から執務をしたというまじめ一徹の彼は、弟のマクシミリアン大公の死(メキシコで銃殺)、息子の死、妻エリザベートの暗殺、その後、後継者に指名していたフランツ・フェルディナンドの死(サラエヴォで暗殺)を経験し、86歳の長寿を全うし、死の前日まで執務をしていた。その事実を知ってのちに、あの肖像画を思い起こすと、なんだかよけいに胸が痛む。(この本を読みおえた夜は殺人鬼が出てくる悪夢にうなされた)。

    エリザベートの章での「結婚といい死といい、彼女はなぜか肝心のところで、本来は別の人間に与えられるはずのものを、受け取ってしまったのではないか……」という言葉がずしんと来る。歴史にifはないけれど、国に、王家に、政治に、戦争に翻弄される人間の生き様、死に様がなんともせつない。

    それにしても、人名のややこしさには閉口する(日本史における徳川家歴代将軍なんかも似たようなものだろうけど)。世界史はほんとにややこしい。それだけに、絵画というビジュアルがおおいに助けになる。

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    • 2019.08.05 Monday
    • 13:32
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      コメント
      あぁ、日記を読ませてもらって、思い出しました。
      だって、家にあるんだもん。本棚の前で「積読中」ですw
      Phoebeさんの感想を読んで、週末一気に読めそうな気がしました。

      • akkey
      • 2010/07/01 11:05 PM
      おお、一気に読んでくださ〜い♫
      ほんと面白くてとまらなかったですよー。
      くれぐれも悪夢にうなされませんように〜(祈。
      ハプスブルク家に生まれなくてよかったと心から思える一冊?。
      • phoebe
      • 2010/07/01 11:11 PM
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