新日本フィル&ダニエル・ハーディング
- 2011.06.26 Sunday
- 22:00
台風の風雨がおさまりかけた夕方、アルカスSASEBOでのコンサートにでかけた。
□プログラム エルガー作曲 チェロ協奏曲ホ短調 op.85
ベートーヴェン作曲 交響曲7番イ長調 op.92
チェロ ウェン=シン・ヤン
ダニエル・ハーディング指揮、新日本フィルハーモニー交響楽団
新日本フィルは、おととしサントリーホールでのマーラーの8番を聴いたので、2度目、のはず。しかし、なんせ巨大な曲だったので、良かったという記憶はあるものの、途中寝たりしたため(すみません……)オーケストラの音をしかと聴けた今回、その魅力がはじめて伝わってきたような気がする。
コンサートに先だって、1時間ほどの公開リハーサル。前日、同じプログラムを東京で演奏してるからか、要所要所をかいつまんで、効率のよいきびきびしたリハーサル、すごくムードが良かった。ソリストのウェン=シン・ヤンも、ハーディングも、眼鏡をかけていて、二人して登場すると、なんだかウォーリーを探せのウォーリーがブラザーズになった出てきたみたいなw。ソリスト氏はとても紳士的な雰囲気を持っていて、とにかく長身!これだけ大きくて手足が長かったら、すんごいしっかりした懐の深い音が出るのでは、とわくわく。ほんとにしっかりした音が響いてきて、気持ちよかった。
いざ、本番。
普通のプログラムでは序曲とか短い曲が最初にあるけど、今回はエルガーからはじまる。これ、いいなあ。最初の曲のあと配置がえとかしなくていいから、すごく引き締まる。ウェン=シン・ヤン氏は、スイスのベルン生まれ(両親は台湾人)、1991年ジュネーブ国際音楽コンクールで優勝。24歳でバイエルン放送交響楽団の主席チェロ奏者(2004年まで)。
ほんとに豊かな音量と、正確な音。端正で渋いわたしの好きなタイプの演奏、しかもオーケストラがまた素晴らしい。この曲は、演奏会でも何度か聴き、CDでも聴いているはずだったけれど、今回たくさん新しい発見があって、おお、こんな曲だったのか、とわくわくしながら聴いていた。音楽がとてもクリアに見えてくる。途中、ああそうだ、ハーディングはイギリスの人だということを思い出す。エルガーがこんなに豊かな音楽を書いていたんだということをあらためて教えてもらった気がした。ソリストとオケのアンサンブルもすばらしくって、これまでコンサートで聴いたこの曲の演奏の中で、一番よかった。
休憩中、お手洗いから席にもどろうとすると、ロビーで人だかり。ハーディング氏が募金箱を持っている。まわっている。ハーディング氏、近くでみたら、ほんとに小さい。顔も体も。わたしでもお姫様だっこできちゃんじゃないかと思うくらいに(んなことはないか)。しかし、そのちっちゃな体のきびきびした動きからはエネルギーがわきでてるみたいだった。
後半、ベートーヴェンの7番。とにかく楽しかった。2楽章!!こんなに美しい音楽だったのかしらん、と何度もうっとり。耳慣れているはずの曲なのに、これまた新しい発見がたくさんあった。
オーケストラの弦のやわらかくてあたたかい音色、透明感のある管楽器のアンサンブルの良さ。一糸乱れぬ集中力。テンポが早くなっても、けして熱くなりすぎず、自然な音楽のうねりが心地よくわきでてくる。ハーディングの指先が直接楽器を奏でているのではないかと思うくらいに、オケがひとつの楽器として鳴っていて、その生命感、躍動感がほんとにいい。音楽を聴く幸せを久しぶりに満喫させてもらった。
数ヶ月前、アルカスでN響を聴いたけど、うーーーんと、新日本フィルのほうが好きだなあ。
ほんとにいい演奏会を楽しませていただいて、感謝。
終演後は、一度弱まっていた雨が、再び土砂降りになっていたけれど、それすら心地よく思える気持ちのよい夜だった。
選曲がステキ。エルガーのチェロ協奏曲、ライヴできいてみたいなあ。蒸し暑い梅雨の日がふっとんじゃいそうですね。
ウェン=シン・ヤンさんは、広島で2年前にあった「アニフェス音楽祭」でお姿拝見したことがあります。すらーっとした長身。私も一度ソロを聴いてみたいです。
エルガーのこの曲、よい曲ですよね〜、大好きです。なかなか実演は難しいみたいで、これまでのコンサートで聴いたときは爆睡(汗。今回はじめて、まともにこの曲を聴いたというかんじでした〜♫