Search this site
Phoebe's music life
<< 養源院から三十三間堂へーまだまだ続く国宝ラッシュ | TOP | 春 >>
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

posted by スポンサードリンク | | - | - | - |
『恋しぐれ』(葉室麟)と呉春の『白梅図屏風』

JUGEMテーマ:読書

毎月テーマ本を決め数人の仲間と読書会のようなものを楽しんでいます。葉室作品を何か一冊読みましょう、ということになったのが昨年の秋でした。『蜩ノ記』や『銀漢の譜』『いのちなりけり』など何冊か読んでいたけれど、せっかくだからこの機会に何か読もうと手にしたのが『恋しぐれ』、表紙の絵にとても心惹かれたのです。

 

それまで読んだ武士ものとは一線を画し、柔らかな印象。与謝蕪村を中心に円山応挙や上田秋成、蕪村の弟子月渓(呉春)などが登場し、様々な切り口で語られる話が繋がって、ひとつ大きな物語となります。蕪村のあたたかみや大きさ、円山応挙のまっすぐな明るさ、ちょっと皮肉屋の上田秋成。ほんとうにこんな風な会話が繰り広げられていたのだろうなあと想像すると楽しい。

蕪村の五十近い年齢差をも超える一途な恋、月渓の哀しい恋、そのほかにも様々な人の人生や恋情が交錯、ほろ苦く切ない恋もあり、命を落とすほどの恋もあり。どのエピソードにも作者の温かいまなざしが感じられます。

師匠である蕪村の辞世の句『白梅のあくる夜ばかりとなりにけり』をもとに月渓(呉春)が描きあげたのが『白梅図屏風』。表紙絵はその絵の一部だったのでした。

 

⇒『白梅図屏風』について

 

読後、この絵はどこに所蔵されているのか調べていたところ、逸翁美術館で二月に展示されることを知り、今回呉春の白梅に逢ってきました。実に味わい深く清々しい、吸い込まれてしまいそうな絵でした。

藍で染められた布のグラデーションが絶妙で、その布の色がそのまま紺碧の空の色になり、そこに描かれたきらめく星のような可憐な白梅がすごく切ない。濃く薄く描かれた枝々が奥行き感を見事に表現しています。

 

全体に漂う静謐で温かい空気感。蕪村の『夜色楼台図』の醸し出すものと共通の世界がそこに在りました。呉春が師匠の蕪村をどれほど慕っていたか、絵がそれを語っているように感じました。

 

その真向かいには応挙の『雪松図屏風』の習作である『雪中松図屏風』が展示されていて、その堂々とした明るい存在感と、どこまでも静かで奥行きのある呉春の絵の対照が実に際立っていて、いい展示だなあと。

 

 

厳しい冬が明けかけたころにほころびる梅の花。いい花ですね。

 

 

評価:
葉室 麟
文藝春秋
¥ 19,051
(2011-02)

posted by phoebe | 22:13 | 美術 | comments(0) | trackbacks(0) |
スポンサーサイト
posted by スポンサードリンク | 22:13 | - | - | - |
コメント
コメントする










この記事のトラックバックURL
http://phoebe.jugem.cc/trackback/673
トラックバック