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『とりつくしま』東直子

JUGEMテーマ:読書

ぼつぼつと、ここ一年に読んだ本のことどもなど。

 

昨年の五月に読んだ東直子の『とりつくしま』。とてもよい本だった。じんわりしみじみ。思わぬことであの世に来てしまい、俗世に未練がある人たちの前に現れる、とりつくしま係。とりつくしまを探している人を一目で見分け「何にとりつきますか?」と問うてくる。ただしとりつけるのは、モノ(無生物)に限るのだ。野球をがんばっている息子のロージンバッグになるお母さん。息子の成長をマウンド横で見届けながら、最後は消えて(消費されて)いく。夫のマグカップになる妻、恩師の扇子になって夏の間だけ、そばにいて風を送る教え子。マッサージの椅子になるお父さん、憧れの図書館員のネーム札になるホームレス。母親の補聴器になる娘。青いジャングルジムになる小さな男の子。実に様々な人が様々なモノにとりつく。どちらかというと、切ない中にも、ああよかったとほっこりできるお話が多い。が、母親の補聴器になった娘さんの話なんぞは、実に苦い悲しみが残る。

 

どのお話も、個性描写が実にうまい。人を深く見る目の確かさ、あたたかさ。文章もしっとりして美しい。東さんは歌人だと聞いて、納得。ひとつひとつの言葉の選び方がぴたっとはまっている。それぞれのお話の主人公の人生のひとかけらが描かれているだけなのに、その余白にその人の人生がふんわりとふくらんでいく。

 

余談だけど、夫のマグカップにとりつく彼女は、夜、ピルクルが飲みたくなってコンビニに向かっている途中に事故に遭う設定だった。実は私ピルクルを知らなかった。ピルクルって何?ピルクルってどんな飲み物?と頭でピルクルがぐるぐるしていたとき、ものすごいタイミングで、ある方からピルクルをもらって、それはそれは驚いた。生まれて初めて飲むピルクルがこのタイミングで来るのか……。念じれば通じる?じゃ、当選した宝くじでも頭の中でぐるぐるさせてみようか、などとつまらない妄想がふくらむ梅雨入り前。

 

 

posted by phoebe | 22:13 | | comments(0) | trackbacks(0) |
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