Search this site
Phoebe's music life
<< 『とりつくしま』東直子 | TOP | 『走ることについて語るときに僕の語ること』村上春樹  >>
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

posted by スポンサードリンク | | - | - | - |
『きものがたり』宮尾登美子

JUGEMテーマ:読書

img001 (2).jpg昨年春、古本屋の店じまいセールがあり、最終日は詰め放題1000円。移動するのもやっとの店内でとりあえずめぼしいものを片端から詰め込んでいった。「ご自分でレジに持ち上げることができることが1000円の条件です〜〜」と店内放送がかかる。人間、いざとなると力が出るもので、あとで思うとよく持ち上がったものだと感心するほど詰め込んだ。前振りが長くなったが、その時に袋に入っていた中の一冊がこの本だった。

 

宮尾さんご自身の着物についてのあれこれを語りつつ、一か月ごとにテーマを設け、写真とともに着物が紹介されている。とってもすてきだ。季節ごとの着こなしにも役立つ。

 

高知の花街を間近に見て育ち、戦中戦後の大変な時期を経ての今日。その中で女性としての着物、という存在の大切さ、切ない思いなどを綴った文章は、流石ピシッと背筋が伸びるようなつよさに貫かれている。

今は洋服に対して和服のことを着物というが、当時はまさに日々の「着物」であっただけに、女の喜びや悲しみがしみこんだものであることが痛切に伝わってくる。そして、今の簡易で便利で多彩な洋服が街にあふれている状態が、果たして幸せなのかなとちょっと思ったりもする。もちろんその恩恵を蒙ってもいるのだけれど。

 

小さな頃、気に入った生地で、好きなデザインで、体にぴったりのものを母が作ってくれていた記憶がよみがえる。母の作ってくれた洋服の数はすごく少なかったが、それだけに一つひとつの洋服に鮮やかな記憶と愛着があり、それを着たときの出来事まで今でも思い出すことができる。それと似た気持ちが、着物には込められているような気がする。

 

和服はことにお値段も張るものだから、思い入れや思い出の深さも半端ではなく、まさに「きものがたり」、一枚一枚に物語が生まれるのだろう。

 

数年前に着付けを勉強していたとき、踊りの名取をしている友達にコツを聞いたら、ひたすら慣れることだと言われた。彼女は「襟元が体にきれいに添ってない、まだ着物がなじんでない」と言われ一念発起して、眠るときもガーゼの和装の寝間着で寝るようにしたそうだ。

それを聞いてから、私もマネしてみたいと思っていたが、ガーゼの寝間着ってけっこう高いんですよ。ところがピルクルよろしく念じれば通じる。年配の方が処分するからと二枚も新品をくださった。それから着物に慣れたい一心で、湯上りとして活用させてもらっている。ほんとはそのまま眠ればいいのだろうけど、猛烈に寝相が悪いためチャレンジできずにいる。面倒だけれども、そんな努力が必要というハードルの高さがまたいいのかもしれない。

 

ストレッチの効いた素材とウエスト総ゴムに慣れた自分を反省しつつ本を開けば、背筋が再び、ぴっと伸びるのであった。

 

posted by phoebe | 21:02 | | comments(0) | trackbacks(0) |
スポンサーサイト
posted by スポンサードリンク | 21:02 | - | - | - |
コメント
コメントする










この記事のトラックバックURL
http://phoebe.jugem.cc/trackback/680
トラックバック